ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第44章 あなたの為なら宇宙へも?
「…………やっぱり欲しい星があるの?」
「え"………っ!?」
私の熱い抱擁に何やら考えたらしい彼………………多分、私が遠慮しておねだりしきれなかった星を再びおねだりしようとしていると思ったらしい
……………ヤバい……………この人全然要らない星を買ってしまう…………ッ!!!!!
そう思わせるだけの財力と貴族階級ならではの人脈とかも持っていそうだし……何より凄まじい行動力を持つ彼だから本当にやって退けそうで怖かった
「イルミさん、ちょっと座って話しましょ……?」
私は星の所有を望んでいない事、貴方に愛を伝える為に抱擁したのであって決して星をプレゼントされると喜んでいた訳ではない事を淡々と説明した
そして
「私………星とか貰っても持て余すし……」
本気で恐ろしくなった私が何度目かにそう呟く頃、彼は話に飽きたのかルームサービスで運ばれてきたチキンステーキを上品ながらガツガツ食べていた
………………何も言ってこないし多分私の気持ちは伝わっただろう
それより仕事帰りでお腹も減っていただろうに長話に付き合わせて悪かったと思う
…………いや、長話になった要因は彼だけれど………とにかくしっかり食べる君が好き
人に出入りされる事を嫌いコース料理を全て運ばせた彼の前には大量のお皿が並んでいるけれど
丁寧な所作で切り分けられたチキンは口元に運ばれると一口が大きく
やはり彼は見た目より沢山食べる人なんだなぁとしみじみする
それでいて優雅さを崩さないのだから私の視線は釘付けだ
私は伝える事に夢中で気付いていなかったけれど、まだまだ寒い夜風に冷えた肩を然りげ無く抱き寄せられてバルコニーから流れるように部屋まで誘導され
いつの間にか目の前にはホカホカと湯気を上げる私好みのミルクティーが用意されていた
ダイニングテーブル越しに黙々と食事を進める彼と見つめ合う束の間
そこには先程までのぶっ飛んだ会話の面影すらなく、ただ私と彼2人だけの朗らかな空気で満たされていた
「……そのスープ美味しいですよね、私も食べました!」
「まぁまぁかな。」
なんて涼しく言う彼にうっとりと幸福な溜め息を付いた部屋の窓には今にも降って落ちそうな星が浮かんでいた