ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第44章 あなたの為なら宇宙へも?
気が付けば随分傍までやって来た彼は先程の私を真似るように夜空を見上げる
「で、何してたの?」
彼の問いかけへ答えるのが途端に恥ずかしくて
あの日ムーシャで見た夜と似た天の川が浮かぶ星空
これだけあれば手に取れそうだと思った……なんて小さく口にすれば
「どれが欲しいか言ってごらん。」
彼は希薄で淡白な表情のまま至極当たり前のように言った
てっきり『馬鹿じゃないの?』と笑われていつもみたいに意地悪くからかわれるものだと思っていた私の目は確実に見開いているだろう
どれが欲しいか言ってごらん………???
……………????
「え……っ?!」
全く冗談を言ってる風に見えない彼を前にどうするべきかわからない
そもそも別に欲しいとかじゃなくて、ちょっとした冗談というか……
あれか?!彼が時折発揮する天然さんか?!いや…………新手のからかい手法か何かなのか………???
「ほら、早く選んで。」
なんて私を急かす声に困惑のまま言葉が出た
「………っ私別に星が欲しい訳じゃなくて!手に取れたら素敵やなぁと思っただけで……!」
思いの外焦った私の声色に大きな瞳をクリクリさせた彼は何を考えていたのか「なんだ」と小さく息を吐いた
……………リアクション的にどうやら私が本気で星を欲しがっていると思っていたらしい…………
星をくれるって一体何なんだ……
私の脳裏にどこかの社長が月の土地を買ったなんて話が過ぎりそんな現実離れな事どこぞの大富豪が………と思った辺りで再び彼を見上げた
「イルミさん………」
「ん?」
「あの………私が本気で星欲しがってたらどうしてたんですか…………?」
「買収してたけど。」
星を………………買収…………………
まるで歯ブラシやティッシュを購入するかのように軽く発された言葉はあまりにも現実味を帯びなかった