ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第6章 セミが泣く
時刻は18時13分
太陽が少し傾いた頃私は食後のデザートにとかき氷機を出した
氷を入れて手動で削るのだと説明すれば彼は直ぐに理解してくれたらしく氷削りの隊長に任命して
嬉々として氷を投入すれば彼はすんなりとハンドルを握ってくれた
「イルミさん、優しくですからね……壊れちゃうから」
「わかった。」
彼の全力でハンドルを回されては機械本体が心配だ
やんわりと注意すれば、彼はコクリと頷いた
ガリガリと音が立てばサラサラに成った氷が受け皿へと落ちて行く
私はそんな中ずっと彼の腕をガン見していた
夏場なので当たり前だが半袖故に露出した肌
そしてハンドルを回す動作により特段力を込めていなくとも動く腕の筋肉は中性的で美しいお顔からは想像も付かない男性味を見せるのだ
私は彼に出会うまで自分を筋肉フェチだと思った事は無かったけれど今は誰かに聞かれれば筋肉フェチだと断言しようと決意する程魅了されている
………まぁ、別に誰も聞かないだろう事は置いておき
無駄の無い逞しい其の腕は私の麗しき旦那様のもので世界中で私だけを強く抱き締める………なんて考えれば嬉しいやら恥ずかしいやらで体温が上がった
ドキドキと騒ぎ始める鼓動は身体を巡り
(………私いっつもイルミさんにぎゅってされてるんや)
今更ながらそう意識してしまえばカッと顔が熱くなった
「何その顔。」
そんな私に不意に投げ掛けられた言葉は呆れ声で
チラリと様子を伺えば隠しもしない呆れた瞳が此方を見ていた
「うへへへイルミさんカッコいい」
「……本当沙夜子の思考は理解出来ない。」
彼にしてみれば謎のタイミングで真っ赤に成っているに違いないけれどとにかく照れてしまって俯いた私に彼は小さく溜め息を漏らした
「全然タイミングが掴めないんだけど。」
ハンドルを回し続ける彼は心底理解不能な様子で呟いたけれどその声色は決して冷たいものでは無かった