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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第6章 セミが泣く







そうめんを茹でながら薬味のネギを刻み部屋には小気味良い音がご機嫌に響く


「何これ?」と単調な声が小さく耳に届いて顔を上げれば彼は流しそうめん機を持ち上げてまじまじと見詰めている所だった


箱から取り出した事で説明書きも無く彼には本当に謎の物体に見えるだろう

ふふふ、と笑ってしまった私に気だるそうに前髪をかき上げた彼は悠々とキッチンにやって来た


トントンと響く包丁の音


「ご機嫌だね。」


なんて、小さくなって行くネギに視線を落としながら言われれば満面の笑みで頷く


「今日はちょっとしたパーティーにしようと思いまして!」


「そうなんだ。」


特に驚くでもなく唇を開いた彼は「だから酒買い込んでたんだ」と納得した様に呟くと長い指で私の髪を耳に掛けてからキッチンを出て行った


然り気無くも戯れる様なささやかな触れ合いに簡単に染まる頬


彼は此方に来てから一段と優しい


とは言え基本は塩対応なのだが家業である殺伐とした暗殺の世界との両立を無くした世界は少し彼の雰囲気を柔らかくさせてくれるみたいだ


多忙な仕事から離れた今、彼は私との時間を大切にしてくれている様に感じて

こんなにも愛を実感して彼の素顔に触れられるなんて溶けてしまいそうに幸せだ


折角なら美味しく、と生姜をすりおろしながら漏れる鼻歌


茹で上がったそうめんを氷をひいた皿に上げてちゃぶ台に運べば彼は静かにテレビを消した


無茶振りでパーティーをする、なんて言い出した私を受け入れて只待ってくれている姿勢が嬉しくて

私は大層浮かれながら流しそうめんの準備を進めた





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