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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第5章 友達







偶然の再会に会話は弾む




藤木は私の働いていたコールセンターにて正社員になっていた

そしてたまたまこの辺に住んでいる友達の家を訪ねる途中だったのだと笑った



「しかし久しぶりやな!」


「そうやなぁ、藤木は変わらんなぁ」


「そうか?………さーやは何か綺麗になったな!」



過去を振り返って紡がれた言葉に嫌味な感情は微塵も無く真っ直ぐに届いて

素直に弾んだお礼の言葉に藤木は夕暮れた空を仰いだ


「……トルコどうやったん?」


久々に聞く其の単語は私が彼に設けた設定の国名

彼はエンジニアでトルコからやって来た故に日本文化に疎い……という設定だった


彼がいなくなってから酷く荒れた日々を共にしてくれた友人はずっと私を心配してくれていたのだろう


何だか懐かしい響きに藤木の思い浮かべる異国とは違う景色を思い出す

本当に色々な事があって沢山話したい事はあるけれど騙しているには変わり無く私は短い言葉を選んだ


「行って良かった!」


楽しかったと伝える様に笑った私に藤木の瞳が揺れる


それが何の感情なのか瞬時に感じ取れたのはあの日々の中で伝えられた言葉や想いを真剣な物と捉えていたからで

強く風が吹いてザァッと木々がざわめいた時藤木の視線は私の遥か後ろに移った


途端に力が抜けた様に笑った藤木は頭をガシガシ掻く




「よし、俺行くわ!また飲みに行こうぜ、そん時はイルさんも一緒に!」



言いながら立ち上がった友人の瞳には先程迄の感情は見えず何処か清々しい雰囲気を漂わせた





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