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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第27章 マタニティーブルー






彼はアパートで確かに言った


『何の心配も要らない、全て俺に任せて』と


私にとってその言葉は誰に掛けられるよりも頼もしく信頼の置けるものだ

彼の計画により実現した今迄の生活の全てが何より其れを物語っているし

疑う気持ちは微塵も無いのだが、それとは別にどうにもソワソワと気持ちが落ち着かない


本来だったらもうすぐ必要な筈の手続きのあれやこれや……そもそもつい先日迄絶え間無く通っていた検診や

もっと言ってしまうなら絶対的に迫る出産……壮絶だともっぱら噂の陣痛とかめちゃくちゃ怖い………

今私自身に宿っているこの子が元気でいるのかも私ひとりでは知る術も無く

病院にも掛からずに私は一体何処でこの子と対面すると言うのだろう


…………………………いや、電車内やタクシー内で出産なんてニュースは耳にした事があるし人間迫られたなら出来ない事は無いのだろうとは思うけれど………

お母さんって強いなぁと他人事で感動していた時とは心持ちが段違いだ


真剣な話、出産中は痛みが強すぎて大切な所を切られても気付かないと聞く………


そんなの………………そんなの……………ッ

正気の沙汰じゃないだろう。





勿論帝王切開だって命の掛かった手術な訳だし、無痛分娩だって完全に痛みが無い訳ではないらしい

何を選んだって肉体を酷使した痛みを伴う大変な作業だ


あぁ…………そんな試練を受けて私を生んでくれた母って凄い………ずっと思っていたけど本当に尊敬する………


今の私の思いを母に聞いて欲しい

きっと誰よりも真摯に頷いてくれるに違いない

そんな思いから取り出した彼方のスマホは当然のように圏外だった




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