• テキストサイズ

ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第23章 小さな刺客







今の私なら睨み殺せる気がする勢いだが実質何もしていない


しかしそうこうしている内に蚊は彼の血液を吸い始めてしまったのだ


…………何と歯痒い事だろう



彼の頬に触れないにしても手で風を送ったり払う素振りは手首が千切れそうになる程試しているが


『私この人に決めたの!』と聞こえてきそうな程微動だにせずお食事している蚊


奥歯が歯ぎしりで無くなりそうだ


私という存在がありながら何処ぞのメスに口付けよりもディープな事をされる彼


(…………うぉぉおああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!)



……………見ている事しか出来ないなんて…………


…………私が無力なばかりに彼の頬がぷっくり赤くなってしまう…………



絶望と深い敗北を抱えながらも私は只機を伺っていた


彼の血液を糧になんかさせない、私が終わらせてやろう………


人は愛する者の為ならば時に悪魔にでもなるものだ

愛情とはそういう表裏一体な物なのではないだろうか


敵討ちだ




私は静かに奴が飛び立つのを待っていた



パンパンに膨らんだ胴体

奴は嘲笑う様に羽を広げる




彼の頬から飛び立ったその瞬間を私はずっと待っていた



……………今だ……………!!!!!







…………………ポトリ














しかし奴は私が手を下そうとしたその直後に突然床へと直角に急降下しピクリとも動かなくなったのである




「…………?」



まぁいい………終わりだ



ティッシュにくるまった蚊の亡骸………これは私が戦った勲章として彼に報告しよう







/ 341ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp