• テキストサイズ

ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第21章 秋雨の時に



_________"



18:37



窓を叩く雨粒の音に瞼を持ち上げれば室内はすっかり黒に染まっていた

倦怠感でフワフワと宙に浮いているような心地好い感覚が身体を包んで

ぼんやりとした意識のままに辺りを見渡せば

規則正しい呼吸を繰り返す彼は私の直ぐ隣で眠っていた

乱暴な所作で敷かれた彼の寝具に私達は二人寄り添って眠っていたのだ

散らかった衣服にまだ余韻を含んだ空気に彼の眼差しを思い出す

素肌の胸に巡り始める鼓動は爪先迄伝わって

首筋に残された歯形をそっとなぞれば甘く激しい刺激が脳裏に焼き付いた





私は莫大な恥じらいや戸惑いを抱えながらも彼の手解きを受けて、気が付けば耳に響いた悩ましい吐息に懸命に汗を流した

そして私に主導権があるような口振りで誘惑する彼だったが、その実私には何の権限も与えられず

結局彼がかき抱くままに激しい衝動に身も心も飲まれてしまったのだ

首筋に落ちた唇は痛みに変わり其れが快感へと変わるまで彼は私を激しく求めた

熱っぽく荒い呼吸の狭間に名を呼ばれてしまえば胸がきゅんと締め付けられて

途方も無く彼から伝わる衝動はやがて意識すらあやふやにさせた



……………そして残ったのは漠然と感じる深い幸福


本当に現実の事だったのか夢幻の様な美しくも情熱的な一時に未だゾクゾクと背筋を震わせながらも

まだ目覚める気配の無い彼の長い髪にそっと触れる

サラサラと指の間を通り抜ける艶やかな黒髪はなだらかにシーツに広がり

その顔を隠している前髪を耳に掛ければ無防備な寝顔に、またドキリと心臓が跳ねた

甘い余韻に交ざる愛しさが息苦しいくらいだ


…………私は彼が好き

好きで好きで言葉に言い表せない程に…………


そんな当たり前の事を強く感じた



……………そう言えば車ではここまでの熟睡を見なかった気がする


もしかしたら彼は少なからず警戒をしたまま過ごしていたのかもしれない

あどけない寝顔にアパートで二人過ごした頃の彼の面影が重なる

あの頃は手を繋ぐにも理由が必要でキスすらもままならなかったのに今では…………



この人は何処まで私を幸せにすれば気が済むのだろう

彼に出会えて本当に良かった……






/ 341ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp