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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第16章 星降る夜の私達







無意識下でもブルブルと震える身体をひとり抱きながらチラリと彼を盗み見る


彼は冷たい風に吹かれ靡く髪を抑えながらまだぼんやりとしたままの空を見上げていた


末端から奪われる体温


しかし、彼の楽しみにしていた星空観賞だ


決して諦めてなるものか


彼の無邪気な素顔は私が守るのだ!!!!!!


私はひとり強く誓って暖を求めて両手に息を吐いた




「少し冷えるけど、平気?」


「ちょっと寒いけど大丈夫ですよ!イルミさんは?」


「俺は全く。」



彼は私を気遣いながらも、やはり楽しみな様子で再び空を見上げた


本当は全然大丈夫ではないけれど彼の楽しみには変えられない

見た目を気にして彼にもパーカーの着用を命じたのだが、それにしたって全く寒さを感じていないなんて流石である

そんな彼からしてみれば常人の感覚等未知だろうし、私の言葉しか判断基準が無いのだろう

精一杯の笑顔で頷いた私の様子をすんなり受け入れてくれた



「どれくらい見えるんですかね、楽しみ!」


「そうだね。」



私達がゲレンデに到着して約15分後の事だった


スマホ等の光を見ず、目を閉じて待つように指示があり

辺りに響くアナウンスがカウントダウンを始めた



『5………4………3………2………1………』



待っている間は只寒さばかりに気を取られていたけれど

私だって彼と同じく心底楽しみにしていたのだ

数字が小さくなる毎に胸は高鳴って



『どうぞ!』




合図と共に目を開いて、あまりもの美しさに間抜けな声が溢れた

辺りからもワァッと一斉に響いた歓声は白い息と共に夜空に溶ける



遠く高い夜空は暗闇を湛えるのではなく、色彩豊かに輝いていたのだ

大きく中央に弧を描くのは雄大な天の川

大きく見える星はひとつひとつ発光色が異なり、まるで宝石の様にちりばめられて


天の川があまりにもはっきりと見える事に感動し

そして何より三日月の細いこの夜に初めて星明かりで照らされる明るさを知ったのだ





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