第48章 追跡
シンと静まり返る広い空間。
そこは 声が反響する程の広さのあるホール。
クロロはクリスフォード邸で入手した剥製を含む、数点の品の保管場所 兼新しい幻影旅団のアジトを探していた。
「いかがでしょうか?」
「なるほど…最適だな」
クロロは満足そうに目元を緩めた。
想像していたよりも大きかったその剥製は、持ち運ぶ分には便利な能力も持ち合わせているが そこに入れておいたのではまさに宝の持ち腐れと言える。
加えて ここ最近に入手したいくつかの品は、自身の中のブームとも言えるのか 不思議とサイズ的に大きめでダイナミックな物が多かった。
紹介されたこの場所は 都心部からもそれなりに近く、秘密めいた物が保管されているようには到底見えない建物の外観で 高度な技術で整備されたセキュリティもここを気に入る要因となった。
クロロは仲介業者へ二つ返事で答えを返した。
「決めた、ここにする」
「ありがとうございます」
しげしげと頭を下げ 部屋を去る業者を見送ると、クロロは早速 自身の念能力の中にしまってある数点の品を取り出し ホール内に並べた。
中でも一際目立つのは、名門貴族クリスフォード邸にて入手した 絶滅危惧種の魔獣の剥製。
クロロは並べた品をゆっくり見回した後、例の剥製に目線を戻すと 興味深そうにそれを見上げながら ぽつりと口にした。
「あいつに…リネルに感謝しないとな」