第47章 恋話
ふとリネルの携帯電話がポケットでバイブレーション音を立てた。
キルアはすぐにそこに視線を投げた。
「リネル 携帯切っとくんじゃなかったのかよ」
「あ、そうだった!ヤバ……」
一瞬 リネルの携帯音に注意力を奪われていたキルアめがけて、ヒソカが一枚のトランプを素早く投げた。
キルアは それをギリギリにかわすと、ヒソカを探るように睨み付けた。
鋭いトランプが切り裂いたソファのクッションからは、 はじけるように羽毛がフワフワと 部屋の中を派手に舞っていた。
「てめっ! いきなり何す
「…ッ、……!!」
意識をそらせる要因があったためか 攻撃をよけた後、少し着地の体制が乱れていたキルアに ヒソカは両手を合わせた拳で一気に殴りかかった。
鈍い音と共に、キルアはピタリと気を失い その場の倒れ込んでしまった。リネルは直ぐにキルアに駆け寄った。
「キルアっ!キルア…?!」
「ちょっと強めに殴ったからすぐには起きないかもね」
「っ、…何考えてんの…!!?」
「ゴンは、まぁ起きても寝起きならすぐ仕留められるかな」
「…どういう、つもり」
リネルは、ヒソカをきつく睨み付けた。
「クックックッ」
いつの間にかヒソカは 過去に何度かリネルに見せたことのある欲情を秘めた瞳をしており、リネルはその目の色に 無意識のうちに身震いを覚えていた。
リネルの携帯電話はいつの間にか 再び静かに その音をなくしていた。