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イチバンノタカラモノ。

第2章 カコノキズ。


自由になった楓は、皆が冷静を取り戻さない内に、強盗達に次々と攻撃をする。それはあまりに身軽で、華麗にも見え、ロキは一瞬見惚れてしまった。
あっという間に、強盗達は警察に引き渡される事となった。

余談だが、ロキは主犯格を撃った後、すぐに元の姿に戻った。
人質は解放され、強盗グループの一員であるはずの木下は、強盗グループからは裏切ったとされ、しかし警察からはずっと掃除用具入れに囚われていたため、木下も被害者だと判断された。
これで、木下は強盗という犯罪を犯さず、被害者という形で依頼は成功したわけだ。

「どうだ、私の働きっぷりは」
「まぁ、一人よりやりやすいという事は分かったけどな」
楓は嫌な予感がしていた。
「これからも同行させてもらうぞ」
的中した。
「なんでそうなるんだよ!?」
「十万円」
「は?」
「この一ヶ月で十万年は使ってしまったはずだ。つまり、私は今文無しでお前の世話になっているという事になる。それは私のプライドが許さん。故に、お前と同じ仕事をし、私も稼ぐ、という事だな」
「お前ずっとここにいるつもりなのか?」
「あぁ」
ロキが再び、楓の頭に手を置いた。
「お前の危険を少しでも取り除きたいのだ。そして、お前の寂しさを埋めてやりたい。それは、お前にとって迷惑な事か?楓」
名前を優しく囁かれると、胸が高鳴る。楓はロキに背を向けると、
「好きにしろ」
とだけ言った。

二章 完
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