第8章 朝ご飯の卵焼き
(お茶が美味い)
食後にアンが出してくれた静岡の新茶とやらをまったり飲む。
コーヒーではなくて緑茶なのが彼女らしい。
スマホがメッセージの着信を知らせる。コラソンからだ。
『ロー、家にいないみたいだけど、ちゃんと帰って来れてるのか?』
(もうこんな時間か…)
居心地が良すぎてついつい長居してしまった。
心配性のコラソンに少し遅れて出勤すると返信する。
元々出張明けで今日は外来もオペもないから大丈夫だろうが、いい加減ここを離れないといけない。
「長居して悪かったよ。朝メシ美味かった。ありがとう」
「あ、どういたしまして」
アンは洗い物の後、庭先で洗濯物を干していた。朝から家事で大忙しだ。
ローの声で振り返ったアンは室内に入ると、台所のシンクの端に置いていた包みを手に取る。
「これ、渡しとくね。今日のお弁当」
(至れり尽くせりだな…)
今日の昼メシも楽しみだ。