第2章 彼女の一日と弟の放課後
モンキー・D・アンは現在高校生の弟ルフィと暮らしている。
同居人は弟の他に二人いて、弟の同級生で親友のゾロとナミだ。
元々天涯孤独で養護施設で暮らしていたゾロが家に転がり込んで来たのが、去年の春。そして夏には金持ちの親と馬が合わずナミが引っ越してきた。
現在、四人で借家住まいだ。
♦︎5:00 起床
毎朝アンは弟達の弁当を作る。
亡くなった母親は小料理屋を営んでいて、アンも料理は得意だ。
アンの次に起きてくるのはゾロで、剣道部の彼はジャージに着替えると早朝の走り込みに出掛けていく。
その後にナミが起きてきて、ボブカットのオレンジ色の髪を揺らしながら弁当を覗き込んだ。
「やった。今日、おいなりさんじゃん。アンちゃんいつもありがとー。
でも、お弁当箱1個多くない?もしかして、彼氏できた?」
「そんなわけないじゃん。これは友達の。たまたま病院で中学の同級生にあったんだよね。お弁当、毎日500円で買ってくれるって言うから」
「本当にアンちゃん、料理上手だもん。キッチンカーでお弁当売り歩いた方が儲かるよ。わたし、SNSで宣伝してあげる」
「ありがと。でもそろそろ着替えてルフィ起こさないと、遅刻しちゃわない?」
「あー!もうこんな時間!」
何かと朝は気忙しい。
そのうちゾロも帰ってきて、シャワーを一浴びして制服に袖を通し食卓につく。
「アン姉、今週末試合なんだ。弁当頼めるか?」
「いいよ。ゾロが好きな物入れてあげる」
ここに来たときはとっつきにくいと思っていたゾロも今では可愛い弟みたいなもんだ。
「いてぇ!いてぇって、ナミ!!」
「ルフィ!アンタ、いつまで寝てんの!遅れちゃうでしょ!?」
ブレザーの制服に着替えたナミに耳を引っ張られながら、パジャマ姿のルフィが起きてきた。
「あー、姉ちゃん腹減った!肉!」
「まずはおはようでしょ、ルフィ。先に制服に着替えてきて。ナミちゃんが言った通り、遅れちゃうわよ」
腹減ってんのにと、ブツブツ言いながらルフィは制服を持って洗面所に向かった。
いつものモンキー家の日常である。