第2章 彼女の一日と弟の放課後
ナミの食事が終わり、店が混み合い出したのを見計らって三人は店を出る。
「今日の晩ご飯、おでんだって。アンちゃんから連絡きてた」
「よっしゃ!あ、はっちゃんとこでタコ焼き買って行こうぜ!」
成長期の食欲は止まるところを知らない。
ナミは家庭教師のバイトに行くので、ルフィ達とは別行動だ。
駅前でナミと別れた二人はたこ焼き屋『はっちゃん』でたこ焼きを買う。ここは地元でも評判のたこ焼き屋で、ハチとケイミーの若い夫婦が店を切り盛りしている。
以前チンピラが店に言い掛かりを付けているのをルフィとアンが助けて以来、ハチ達はこの姉弟に頭が上がらない。
「ルフィ!また来てくれニュ〜」
「ルフィたん!アンたんによろしくね」
「しっしっし!またな!」
今から自主練をするというゾロと別れ、ルフィがたこ焼きを食べながら向かったのは空手道場。
幼い頃から祖父ガープに空手の手ほどきを受けていたルフィは、今は道場主のシルバーズ・レイリーの指導を受け研鑽を積んでいる。
毎日ここで汗を流し、いつかは師匠を超えて世界一の空手家になるのが夢なのだ。
アンは大学に行けと何かにつけて言ってくるけど、勉強なんか好きではないし、大学生活に興味はない。サラリーマンとか息苦しいのは絶対に無理だ。
ガープは警察官をゴリ押ししてくるがピンとこないし、従兄弟のエースやサボのように海上保安官とか消防士も何か違う気がする。
(ま、なるようになる!)
心配性の姉と違って、弟はひたすら楽観的なのだ。
♦︎20:00 帰宅