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〈H×H パロ〉ホストクラブ【幻影旅団】

第4章 +アルファ/夢主はイルミの幼馴染


ユイにとって、初めて立つこの大都会はすごい所だと思えた。

「……入学手続きは無事に終わったし。後は帰りの飛行機の時間まで何しようかな?」

立ち並ぶビルのせいで空は切り取られた四角をしていて、車の密度が高いせいで空気が灰色に濁っている。何よりこんなにも人で溢れているのに 皆々が難しい顔をして、行き交う人間同士 お互いが見えないのかと聞きたくなる程だった。
ユイがここに立っている理由は幼い頃からのある夢を叶えるためだった。

“獣医になりたい。”

4月から晴れてこの都会の真ん中にある有名獣医専門学校へ入学することになってはいるのだが。折角都会へ出て来たのだからと テレビの中の世界としてしか知らない、若者が溢れる大きな繁華街 ハワージェラルへ電車で移動をしてみたのが運命の左右だったのかもしれない。

「キミキミ!可愛いね~ タレントとか興味ない?」

「え、…あたしですか!?」

「そうそう。とりあえず3分でいいから話だけでも聞いてみない?事務所もすぐそこなんだ」

「ええと、それってつまり、」

「スカウトだよ。もちろんね」

改めて、はやり都会はすごい所だと思う。まさかこんな所で他の才能を見出されるとは夢にも思っていなかった。

「ちょっとだけ!ね?社長もキミ見たら絶対売れるって太鼓判押すと思うなあ~」

「でも、」

「モデルとかアイドルとか女優とか興味ないかな?キミなんでもいけそうだね!」

「じゃあ お話を聞くだけ」

「うわ、ありがとうっ!」

ユイは やたら愛想のいい男に作り笑いを見せた。

「ここ!こっちこっち!入ってよ」

「…、…」

「あ、大丈夫だよ。入り口はちょっと狭くてアレだけど中はちゃんとしてるからさ、スタジオとかメイクルームもあるし」

「そうなんですね」

「そうそう。カメラテスト用に何枚か写真撮らせてよ、可愛い衣装も用意があるからさ」

「へえ~」

人のごった返すメイン通りを外れ 細い路地に案内された。寂しい裏路であってもちらほら人がいるのだから さすがハワージェラルだ、なんて呑気に構え ユイはニコニコする男に促されるまま 雑居ビルへ足を踏み入れようとした。


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