第1章 ホスト遊び/夢主はお客様
【その後】
最後の客を送り出し、店が閉まる。イルミは店のソファに深く座り込んだ。
「何なのこの店。人遣いが荒すぎる」
「お疲れー!まぁそう言うなって。今日は助かったよー 人足らなくてほんと困ってたから。また手伝い来てよ!」
深夜には不似合いな爽やかな笑顔で、今日の売り上げを計算しているシャルナークに向かって イルミは思い出したように言った。
「……まぁでも、今日はいいコいたから大収穫かな」
「それってユイ?ああいうタイプには多分ハマると思ってさー それでユイにつけた」
「さすが。旅団の影の立役者だけあるね」
「ま、その分のキックバックはゾルディックからたんまり貰うけどね!」
クロロがニヤニヤしながら2人の会話に口を挟んだ。
「シャル、それじゃあ結果 ユイを同業店に取られるだけだぞ?」
「わかってるくせに。そこはクロロの出番でしょ!なんせ推しに弱そうだしさ、多分リネルとまたうちにも来るし。イルミの太客になる前に絞ってよね、がっつりと」
ウインクを投げるシャルナークを見て、クロロは肩をすくめた。
「お前はほんとに怖いな。恐れ入る」
「そのオレがいないとこの店成り立たないでしょ」
イルミが腕組みをしながら、反論を呈した。
「ユイはもうここには来させないよ。ウチの店で可愛がるから」
「どうかな〜?まぁユイをどう動かすかはリネルにもかかってるかな」
明るく笑うシャルナークに、イルミはまたも言葉を返す。
「ならリネル共々引っ張ってやろうかな、ウチの店に」
「それはキミには無理だと思うよ?」
横からヒソカが口を出した。
「あれでリネルはかなり一途だ。ボクだって落とすのに苦労したんだ」
「ふ、元々はオレの女だからな。リネルは」
「ああ そういうこと。なんで手放したの?クロロ もったいない」
それに答えたのはシャルナークだった。
「それぞれに立ち位置ってのがあるだろ!リネルみたいに情に素直なコはまだ育成領域のあるNOじゃないホストのが燃えてくれていいワケ」
「なるほど。戦略、ね」
「そっ!」
それぞれが含みのある顔をする。
こうして長い一夜は幕を閉じた。
fin