第23章 拗れた微熱は指先に溶けて《後編》* 石田三成
「三成君がヤキモチ妬いてくれたの嬉しかったから…その証拠が消えたら寂しくなっちゃって。だから、また付けてほしいな、なんてダメかな」
「っ……」
(貴女って御姫様は、本当に……)
頭が沸騰しそうだ。
可愛いお願いに、甘い感情が支配して。
そして、今日も溺れていくのだ。
貴女の全てに、みっともないほど振り回されて、
─────でも、それも悪くない
「いつでも付けてあげますよ、なんなら今でも」
「今はだめっ、治すのが先!」
「はい、解りました。……美依様」
「うん?」
「今日も貴女が大好きですよ」
くらり、くらりと目眩がする。
幸せすぎて、目が回るくらい。
貴女が私の傍にいてくれるから、
私は誰よりも幸せです。
たまには嫉妬したり、すれ違ったり、
そんな時は抱き締めあって口づけて。
気持ちを確かめ合えばいい。
大好きだと、愛しておりますと、
言葉で伝えればいい。
この未来永劫変わらない熱情を、
余すところなく教えるから。
嬉しそうに笑む貴女の頬に手を伸ばし、触れたらとても温かかった。
たまには風邪を引くのも悪くない。
貴女を独り占めして、そして全快した時には今度こそ『この先』を。
それに思いを馳せながら──……
私は愛しい貴女に微笑を返したのだった。
拗れた微熱は指先に溶けて
ー了ー