第2章 拝啓 愛しい君へ《前編》* 明智光秀
────拝啓 小娘へ
元気にしているか?
文を書いた理由は、さほど重要ではない。
何となく、お前の顔が頭に浮かんで…
つい筆を走らせてしまっただけだ。
三日後、安土に帰る。
帰ったら、また意地悪してやるから…
楽しみに待っているといい。
それでは、いい子にしていろ。
追伸
そうだ、お前に言わなければ
ならない事がひとつだけあったな。
俺はお前の事を、愛しているよ。
返事は帰ってから聞かせてもらおう。
それまでに、なんと答えるか
きちんと考えておくように。
意地悪と捉えてもいいが…
俺は至って真面目だ。
それを踏まえて、返事を考えろ。
……良い返事を期待している。
明智光秀