第18章 鴇色の華に魅せられて * 織田信長
閨で蕩ける貴様は、この上なく愛らしい。
俺の指や舌や声で、くずくずに崩れていく様は、何度見たって心が高ぶるものだ。
でもそれはきっと、貴様も同じ。
俺が感じる姿を見ただけで、蜜を零していた貴様だから……
俺が鴇色に染まる様に興奮したに違いない。
それは愛しているからこそ。
愛しているものが溶ける姿を見るのは、男女関係なく欲情する理由になる。
────そうだろう、美依?
「の、信長、様……」
「どうした」
「その、申し訳ありませんでした!」
「謝ることはない」
「えっ……」
「申しただろう、新しい貴様を発見したのは一興だと」
「俺にとって、貴様は未知だ。まだ色んな知らない顔があるのだろう。それを一つずつ知っていくのもまた愉しい。貴様はそれで良い、ただ…俺以外には見せるな。貴様は…俺の為に咲く華なのだからな」
そして、また天主が淡く染まる。
触れて、触れられ……
今度は記憶を飛ばさないように。
甘やかな声を優しく響かせ───………
染まる想いに、極上の蜜夢を見る。
秋に染まる椛のように色づく美依を見ながら、俺はまた熱に躰を浸していった。
たまには大胆不敵な貴様が現れる。
そんな貴様も愛しているから、
また可憐に染まって、蕩けてくれ。
囁く言ノ葉は鴇色。
赤と白が混在するそれは、
激情と無垢が隣り合わせであるのだから……
また新しい未知なる華を咲かせて、
存分に愛でるのも悪くない。
鴇色の華に魅せられて
ー了ー