第17章 太陽と月の恋人《後編》* 秀吉、光秀
太陽が昇り、それが沈めば月が出る。
決して混在する存在同士ではないけれど、
"ここ"では確かに一緒に在って、
それが叶う世界もあるのだと思う。
それに魅入られてしまった姫は、
どちらの光も受けて輝く。
華やかに、時に淫らに、
太陽と月の恋人として────…………
「しかし、信長様は激怒するよな」
「案外認めてくださるかもしれないぞ」
「三人の関係をか?」
「だったらお前は降りるか、秀吉?それならば俺と恋仲になったと御報告するだけだが」
「そんな事させるか、光秀!」
「ん…んぅー……?」
「ん?起きたか、美依」
────あったかい、手
伸ばした手を掴んでくれた二人。
優しくて面倒見が良くて、兄みたいで。
もう、そんな風には思えないけれど。
いつしか心に芽生えた感情は……
熱く焦がすように、私を溶かしていく。
「おはよう、美依。よく眠れたか?」
二人同時に重なった声が、耳に甘い。
これから、どうなるかは解らない。
ただ今は、三人の優しい時間を。
もう少し───………このままで。
三人で迎えた朝は、少しの羞恥と戸惑いに包まれながらも、酷く穏やかで温かい朝だった。
これからも『すき』は降り積もる。
もっと好きになったら……
私は結局、どちらも選べないのかも。
そんな予感がするよ、だって、
蕩けるほどに魅せられた、
太陽と月の恋人だから。
太陽と月の恋人《後編》
ー了ー
分岐数ページ書く予定でしたが、
この話はこれで完結とさせていただきます←
ご了承くださいませ(*_ _)