第16章 太陽と月の恋人《前編》* 秀吉、光秀
────明るい蜜月が浮かぶ
俺達の歪な関係を照らしていた月は、
気持ちに比例してだんだん膨らんで。
お前を俺のものにしたいと、
爆発しそうな感情を受け止めてくれたお前。
そんな愛しいお前は───………
今、ぼろぼろに傷ついているのか?
二人は美依の居る部屋に向かいながら、ひたすらに美依だけを頭で思い描いた。
優しく花のように微笑む顔、
恥じらって頬を染める顔、そして……
閨で見せる"女"としての顔。
それが汚されるのは許さない。
恋敵ではなく───………
見知らぬならず者にそうされるなら、尚更。
『────助けて』
その時、夜の闇夜に紛れて美依の声が聞こえた気がしたのは気のせいか。
俺がお前を癒してやる、傷ついたお前を。
俺が、助けてやるから。
夜は長い、月は沈まない。
歪な三人が行き着くのは、そう……
今宵限り花咲く、蜜事の始まりなのだと。
それを予感するように、
はらりと夜闇に蝶が舞っていったのだった。
太陽と月の恋人《前編》
ー了ー
*.☪︎ ┈┈┈┈┈次回予告┈┈┈┈┈☪︎.*
『きっとこれは罰なんだよ…』
『美依……』
『私が秀吉さんも光秀さんも選べないから。
いい加減な私だから……!』
中途半端な関係に一番苦しんでいたのは
美依自身だった。
自分を責める美依に、
二人がしてやれる事、それは……
『お前は何も悪くない。だから……
今は身を任せ、癒されていればいい』
次章>>>>
太陽と月の恋人《後編》
⚠︎注意⚠︎
次章は三人での閨になります。
苦手な方はご注意ください。