第16章 太陽と月の恋人《前編》* 秀吉、光秀
『あっぁんっ…秀吉、さっ……!』
────今日は"秀吉の日"
今、美依は秀吉によって、とろとろに蕩かされている。
でも、それは俺達で決めた決まり事。
だから、文句は言えない。
美依がどちらかを選ぶまで『この関係』を続けようと、そう決めたのも俺達だ。
そして───…………
『やぁっ…ぁっ、光秀さん……!』
日付が変われば、今日は"光秀の日"。
今宵は光秀に溶かされている美依。
部屋の外にまで響く甘やかな声は……
『三人での関係』を保たねばと思う半面で、己の心を軋ませる。
出来れば、己だけが美依を啼かせたい。
でも……それは現時点では叶わない夢だ。
秀吉か、光秀か、
どちらも選ばないのか。
美依が『どちらかを特別になんて出来ない』と言った時から、始まった『日替わり』の関係。
猶予は十四日。
その間の七日間は秀吉の恋人、残り七日間は光秀の恋人として。
それぞれに愛を育み、十五日目に美依に選ばせる。
それが、俺達の中での約束だ。
『────美依
俺を選んでくれないか』
俺の手を取れ、美依。
俺の方がお前を幸せに出来る。
あいつより、絶対に。
だから────…………
こんな関係は終わらせると言ってくれ。
今宵はどちらの恋人?
俺か、あいつか、どちらに啼かされる?
今宵も蜜月が浮かぶ。
月のない夜から、だんだん膨らみ満月になったら────…………
俺は、真実の恋人になれるのか?