第13章 愛逢月の秘蜜《後編》* 政宗、家康
「とろっとろだな、可愛い」
「あぁんっ、やっぁあっ……!」
「すごい甘い匂いもするし…はぁ、堪らない」
まるで華に群がる蝶の如く惹き付けられて。
愛しい女が乱れる姿はこんなに滾るものなのかと、驚きを覚えるくらいだ。
華には水を、愛しい女には己を。
それだけを思い描いて、乱れる刹那に溶けていく。
(俺が、この手で癒してやりたい)
双方とも思う気持ちは一緒だ。
出来れば自分が、苦しいのならそれを取り払って……
「………っあぁぁぁぁ!!」
────与えてやりたい、この俺が
「はぁっ…はあっ…ぁ……」
再度果てた美依は、息を荒らげながら、脚を投げ出した。
家康の胸にもたれて躰全体で呼吸をしている。
その顔を間近で見下ろしながら、家康はそっと頬に手を這わせた。
だいぶ熱い、もう美依は二度三度と気をやっているが、あまり媚薬が抜けてきたようには感じない。
これは、長丁場になるかもしれないな。
そう思っていると、目の前にいる政宗が当たり前のように美依の脚を割り躰を入れたので……
今度は家康が政宗に向かって苦言を呈した。
「ちょっと、何挿れようとしてるんですか」
「解したのは俺だ」
「あんたは一回抜け駆けして美依を抱いたんでしょ、約束破った罰に最初は譲ってください」
「それを引き合いに出すな、もう辛ぇんだよ」
「それはこっちも一緒です」
二人の熱の中心はすでに雄々しく屹立し、腹に付きそうなほどになっている。
脈打ちながら、膨らみ大きくなって……
それは愛しい者が乱れれば、本能的にそうなってしまうから。
相手より先に挿入したい。
それは互いに当然のように考えていて、どちらがまず美依と繋がるかという事なのだが。
「ん……?」
ふと気がつけば、顔の口元近くにある家康の手を、美依が僅かに舌先で舐めている。
無意識にやっているのか、家康が試しに人差し指を差し出してみると、美依はその指をパクッと咥えた。
そして愛撫するように、ねっとりと舌を這わせてくる。
濡れた唇、そこから微かに舌が見え隠れし、まるで男のモノを愛でるかのような動きに……
それを見ていた政宗の喉が、唾を飲んだ音がした。