第2章 拝啓 愛しい君へ《前編》* 明智光秀
────甘やかな水音が響く
今はこれだけで…十分すぎる程幸せだ
触れ合った温もりが熱を上げる。
ゆっくりと絡まって…
想いが混ざって、次第に蕩けていく。
俺は美依と唇を重ねながら、これからの"段取り"を頭の中で巡らせた。
まずは、こうして触れ合う事に慣れさせ。
そして、慣れてきたら徐々に全身の奥深い所まで、俺のものにしていく。
それはまさに『開花』させるための手順。
それを考えるだけで、頭が沸騰しそうだ。
(だが、俺がお前の中に入れるまで
────本当に時間が掛かりそうだな)
「光秀、さん……?」
「いや、なんでもない」
「……?」
視線を合わせて笑みを漏らしたら、美依が可愛らしく首を傾げた。
俺がどれだけ心が踊っているのか、解らないのだろうな。
お前にじっくり教えてやろう。
これから、まだまだ二人の時間はある。
俺の事も然り、お前の事も教えてくれ。
どんな可愛い顔になるのか。
どんな声を響かせるのか。
それから、お前が登り詰めた時も。
どんな艶やな姿になるのか。
焦らすに焦らされて……
手に入った時には、きっと至福だろうから。
その時が、本当に楽しみだ。
寒い、寒い冬の今日。
俺は世界一尊く、温かな心を手に入れた。
何度も何度も唇を重ねながら…
改めて愛しい者を、心から想う。
『愛しているよ』は温もりから伝わって。
俺の世界に、煌めくような愛が瞬く。
これから続く幸せに思いを馳せながら…
この瞬間よ、永遠に続けと。
呆れる程に願ったのだった。
拝啓 愛しい君へ《前編》
ー了ー
*.☪︎┈┈┈┈次回予告┈┈┈┈┈☪︎.*
『湯浴みの用意はしておく』
光秀から来た文は、正しく"その先"に
進む事を示唆したものだった。
戸惑う美依、でも嬉しくて…
『私、光秀さんと一つになるんだ』
私の"初めて"の男の人は。
意地悪だけど優しく、そして甘くて…
とびきりの幸せをみせてくれるんだ。
次章>>>>
拝啓 愛しい君へ《後編》