第9章 縛る存在
「どうしたの?汐」
「ねえ璃保、聴いてほしいお話があるの」
「ん?」
汐は黙り込んでしまった。
こんなとき、なんで言っていいのかわからない。
言いたいことがまとまってない。
「いいたいこと、まとまってないんだけど、いい?」
「全然いーよ。どしたの?」
「えっとね....」
汐はコンビニの袋を見た。
中にはスポーツドリンクと栄養ドリンクと甘栗が3袋入っていた。
そして値段の部分が黒く塗りつぶされたレシート。
裏には凛の手書きのメッセージがあった。
〝榊宮お前甘栗好きだったろ。
これ食ってさっさと元気になれよ。〟
汐はレシートを手にとった。
こぼれるような笑顔を浮かべ、会話を切り出した。
「あたしね....」