第2章 冬の雨
マンションのエントランスに入り、エレベーターに乗り込む2人。
「……………」
女は何も喋らない。
長時間雨にあたっていたためか、着ている物は水分をタップリと含みポタポタと足元に水溜まりを作っている。
早く身体を温めてやらなければ…
リヴァイはなかなか部屋の階数に辿り着かないエレベーターに少し焦れた。
「ほら、入れ…」
「…ありがとうございます……」
リヴァイは部屋に入ると、急いでバスタオルを持ってきて女に手渡した。
「…すみません…」
一通り水分を拭き取ると、女は履いていたスリッパを脱ぎリヴァイの部屋に上がった。
「ここが風呂。買った物はここだ。着替えはお前が中に入ったら適当に置いておくから風邪引かないように温まってこい。」
「あ、あの…」
リヴァイは女の返事を聞かずに洗面所を出ていった。
洗面所を出ると、割とすぐにシャワーを出す音が聞こえてきた。
ちゃんと浴室には入った事を確認すると、リヴァイは適当な部屋着を見繕い再び洗面所へと向かった。
「あ………」
女は髪を洗いながらある事に気付いた。
さっきコンビニで買ったトリートメントを持ってくるのを忘れてしまったのだ。
女の髪は腰までの長い黒髪。
目の前には意外にもシャンプーとリンスが置かれていたが、男モノの製品だけでは傷んでしまう。
そう思い買ったトリートメントがさっき買ったコンビニの袋に入っているはずだ。
女は急いでシャンプーを洗い流すと、浴室の扉を開けて半身を出しながら荷物が置いてある場所まで手を伸ばした。
「えーと、確かこの辺に……あ、あった!!」
しかし、女が無事にトリートメントを手に取った瞬間、まさかの洗面所の扉が何の前触れもなく開いた。
「え…??!!」
「………!!!」
洗面所の扉を開けたのは、この部屋の主、リヴァイだった。
手には着替えと思われる服を持っている。
しかし、その視線はバッチリと女の身体を直視していた。