第2章 冬の雨
ー11月20日ー
リヴァイは仕事を終えて最寄りの地下鉄の駅、中野坂上から地上にでると、電車に乗る前より雨が強くなっている空を見上げて眉間にシワを寄せた。
「……チッ…」
この所、急に冷え込みだした東京の中心部。
その上今日は朝から雨が降っていた。
暖房のきいた地下から出てきたリヴァイは、その冷たい風と強くなっている雨に思わず舌打ちをしてしまった。
別に寒いのが苦手なわけではない。
自分の生まれ育った母国、ドイツの冬だって日本に負けないくらい冷え込みは厳しかった。
しかし、この冷たい雨はどうしたって鬱陶しい。
リヴァイは今朝、オフィスまで車で行くという選択をしなかった自分に盛大な舌打ちをした。
こんな日はさっさと熱いシャワーを浴びて食事にしてしまいたい。
リヴァイは持っていた傘を開くと、マンションに向かって歩き出した。
「いらっしゃいませー!!」
リヴァイの住んでるマンションの1階はコンビニになっている。
男の一人暮らしにはうってつけの物件だ。
勿論自炊をしないわけではないが、こんな鬱陶しい雨の日は簡単に済ませてしまいたい。
そう思って開いた自動ドアから店内に入ろうと思った時、入り口に1人の女が立っているのが目に入った。
「……………」
左側の視野に入ってきた女はこの寒い気候の中、上着も着ずに濡れているように見えたがリヴァイはそのまま店内に入ると、カゴを手に取り必要な物を入れていった。
「ありがとうございました!またお越しくださいませ!!」
夕飯の弁当に明日の朝食のパン、缶ビールという男の一人暮らし感満載なラインナップを買い、商品を受け取ると、リヴァイは店員の営業スマイルによって見送られた。
「……………」
開いた自動ドアに向かって店を出ようとすると、入店した時に左の視野に入った女の姿が今度は右の視野に入ってきた。
そのままリヴァイはマンションのエントランスに入り集合ポストの中を確認する。
中は空だった。