第4章 記憶と真実
そんな穏やかな日々を過ごしていたとある朝、リヴァイが小さな異変に気付いた。
「…?」
「………」
「おい、?!」
「あ…は、はい!!」
「顔色が悪いな。風邪でもひいたか?」
本格的に冬の気候になってきた12月。
の顔色が優れないのに気付いたリヴァイは声をかけたのだが、その反応は鈍く目力も弱い。
明らかに体調が悪そうだ。
しかし…
「あ、いえ…大丈夫です。昨日の夜寝室のパソコンを使って仕事の続きを少ししていたんです。軽い寝不足です」
あっさりと否定されてしまった。
「そうは見えねぇな。仕事は家でもできる。今日は休みにするぞ」
「え……?」
“休みにする”というキーワードには慌てて首を左右に降る。
「い、いけません…リヴァイさん。今日はクライアントの方と外で会う約束があったはずです。師走に入ってお仕事も忙しくなってますよね?約束をドタキャンなんてしたら信用を失ってしまいます…」
「だからといって1人で留守番させるわけにもいかねぇだろ…元恋人にここはまだ嗅ぎつけられていねぇみたいだが、今日も大丈夫という保証はない…」
「それなら大丈夫です。私も一緒にオフィスに行って仕事をしますから」
「いや…体調悪いのに無理すんな」
「ただの寝不足ですから大丈夫です!あ、もうこんな時間です!急がないと道渋滞しちゃいますよ!」
「おい……」
は頑なに体調不良ではないと主張するとバタバタと朝食の食器を下げて洗い出してしまって。
の食器に盛られた朝食はほとんと手がつけられておらず残っていた。
体調が悪いのは明らかなのだが、の言う通り師走で忙しいのも確かだ。
そして時間も時間。
リヴァイはここで問答するのを諦めると自身も片付けを手伝いオフィスに向かった。