第1章 秋の散歩【エルヴィン】
私の顔が赤いのは夕日のせいでも足元の赤い花のせいでもない。だって顔も身体も、団長の大きな手を握る私の左手も熱いから。
「そうか」
頷きながら微笑み、私の左手は団長の右手に絡み取られてしまった。
「では、この我儘もきいてもらおうか」
手を繋ぎ、ゆっくりと歩き始めた。のぼせた頭で考えられる事はなく、ずっと団長にされるがまま手を握られて歩く。
遠目に馬車を確認した私たちは同時に足を止めた。
「帰りたくない・・という我儘は通じないよな」
苦笑交じりに言いながらも私を見る目は優しい。
「恐らく・・」
「リヴァイなら上手くやってくれると思うんだがな」
「私は蹴られる予感しかしませんが・・」
それもそうだ、と手を離して歩こうとしても互いに離したくない気持ちが伝わる。
かといって、このままの状態では戻れず2人で困った顔をして立ちつくしてしまう。
「私はいつまでも団長のお傍にいますから」
両手で団長の手を握り、軽く忠誠を誓う口づけをした。そう、命続く限り貴方の傍にいたい。
季節は秋。
きっと風は冷たいのだろうけれど、私は温もりを感じている。
私の忠誠と恋心は、エルヴィン団長の抱擁で応えられていた。