第1章 序章
「どうして……どうしてこんな事を……言ったのに……」
「お前を愛している。だからこそだ」
私は、燃え盛る炎の中、
誰かと言葉を交わしていた。
顔は思い出せない。
けれど……
それは……
私にとって……
あってはいけない出来事だった。
どこで間違えたんだろう……
なぜ、ここにいるんだろう……
そんな事を考えていた。
微かに聞こえる人の呻き声。
鼻をつくような臭い。
周りは薄暗く何も見えない。
明かりは、遠くにある松明のみ。
床は硬い土がゴツゴツとし、薄汚れた藁がバラまかれている。
薄汚い場所。
そこに……
私は……
居た……