第2章 MELTY HURT
長かった1日が無事に終わり、瑠璃月は暗い部屋に戻って来た。
「ふぅ~疲れた…」
ため息をつきながら、電灯のスイッチを押す。
「やっと戻ったか、瑠璃月。」
「わぁっ!?来てたんだ、ネウロ~!!」
電灯で明るくなった瑠璃月の部屋のベッドに、大好きなその人が座っていた。
「遅くなってゴメン!すぐ何か作るよ~!!…と言いたい所だけど、ネウロは謎しか喰べれないもんなぁ~」
笑顔で冗談を言う瑠璃月に対し、ネウロは冷たい目線を向ける。
「瑠璃月、貴様はいつも笑ってばかりだな。」
「そう?どうしたの急に?」
瑠璃月は幼い頃からずっと、少し気が強いながらも、基本的には誰にでも愛想を振り撒く、陽気で活発な性格をしている。
しかしその天真爛漫さ故に、悪い存在に引っ掛かったりはしないかと、周囲に不安を抱かせる事もあった。
「もう、何~?」
突然、後ろから強く抱き付かれ、また瑠璃月は無邪気に笑う。
「着替えたいし、ちょっと離してくれな…ぎゃああっ!?」
瑠璃月に更なる不意打ちを喰らわすが如く、鎖で繋がれた首輪を取り付けられた。
「ちょっ…何なの!?」
あまりにも一瞬の出来事に、瑠璃月は茫然となった。
「誰彼構わず笑顔を振り撒く貴様には、お仕置きが必要だ。」
「はあ?意味わかんないんだけど!!何よいきなり!?」
「うるさいぞ瑠璃月。悪いのは貴様だ、大人しくしろ。」
「何で…うぐっ!」
訳が分からないままネウロに鎖を思い切り引っ張られ、首輪が瑠璃月の喉元に食い込む。
そのまま引き摺られるように歩かされ、ベッドに組み敷かれた。
持てる限りの力で抵抗する瑠璃月を、ネウロはいともたやすく抑えつけ、何処からか取り出した縄で瞬時に瑠璃月の手足を拘束していく。
「痛い!嫌だこんなの!!」
「黙れ。」
その瞬間、ネウロに激しく頬を打たれ、瑠璃月の視界に眩い光が散った。
衝撃で頬の内側も切れたらしく、口の中に血の味が広がる。