第2章 MELTY HURT
だからこそせめて瑠璃月だけは、他の誰の元へも行かせたくなかった。
他の誰をも瑠璃月には近づけたくなかった。
瑠璃月の笑顔も涙も全て、他の誰にも見せたくなかった。
しかし瑠璃月はそんな想いに気付く事無く、いつでも何処でも純粋な笑顔を輝かせていて…
瑠璃月の身体を抱き締めると、閉じた眼から一筋の涙が流れた。
ネウロはそれを指で拭うと、貪るように唇を重ねた。
……………
瑠璃月が目覚めた時には、もう昼を過ぎていた。
頭はぼんやりとして、全身に酷い倦怠感と痛みを感じる。
何ひとつ身に着けてはいなかったが、布団を掛けられ首輪も外されていた事に深く安堵した。
「起きたのか、瑠璃月。」
「ネウロ…!!」
重く痛い身体を起こすと、中からドロリとしたものが溢れ、太腿を伝い落ちた。
「なっ…!?」
その瞬間、瑠璃月の頭に猛烈な怒りが込み上げた。
「何でいきなりあんな事したの!?凄く怖かったし痛かったんだから!!」
「貴様、怒っているのか?」
「当たり前じゃん!怒ってるよそりゃ!!」
「ほう…あれ程よがっていて、何を今更怒る必要がある?」
「………それは…私はただ、皆と仲良くしたかっただけなのに、誰にも笑顔を見せるなとか…そんな無茶苦茶な理由で、あんな痛くて怖い思いさせられて…!!」
「そうか、それは悪い事をしたな。」
「嘘つけ!!絶対悪いと思ってないし!」
「フハハハハ!よく分かっているではないか。」
「全くもう……でも、これだけは信じて。私は絶対に、ネウロから離れたりなんかしない。他の誰かに、心変わりする事なんかない!!」
「瑠璃月…」
「ネウロと他の皆とじゃ、好きの意味が違うの!!長い時間かけてでも、その違いは覚えて欲しいな…」
「そうか…」
瑠璃月の言葉に、ネウロは何処か安心したような表情を見せた。
「あ~もう終わり終わり!!身体洗ってくる!」
浴室に向かおうとした瑠璃月の肩を、後ろから両手で抱く。
「何…?」
少し怯えたような表情で振り返った瑠璃月に、ネウロはしっかりと口づけた。