• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第109章 幕間その陸:煉獄邸再び


「僕はこれからも、文献を修復します。日の呼吸やヒノカミ神楽の事もそうですが、もしもワダツミの子のことがわかったら、大海原さんにもすぐにお知らせします」

「ありがとう。でも、無理はしないで。あんたが倒れたりなんかしたら、あたしは煉獄さんに顔向けできないわ」

「はい。ありがとうございます」

「それと、あたしの事は汐でいいわ。名字で呼ばれるのは、あんまり慣れてないのよ。いいわね?」

汐の言葉に、千寿郎は驚きながらもうなずき、それを見た汐は再び笑顔を見せた。

「じゃあね、千寿郎。お父さんによろしく」
「あ、汐さん!」

帰ろうとした汐の背後から、千寿郎の呼び止める声がした。
汐が振り返ると、彼は目を泳がせながら言った。

「あのっ、もし、もしよければまた来てください。あ、それと、できれば、その。あなたにも手紙を書いても、よろしいですか?」

千寿郎は声を震わせながらそう言うと、汐はにっこりと満面の笑みを浮かべながら言った。

「いいわよ。すぐに返事できるかどうかはわからないけれど、あたしでよければいつでも」

その笑顔に千寿郎の胸が大きく音を立て、顔に熱が籠った。その変化に汐は気づくことなく、そのまま帰路へ着いた。

千寿郎は空を見上げて、静かに目を閉じた。脈打つ心臓の音を聴きながら、そっと口を開いた。

「兄上・・・、あなたが汐さんの事を、あれほどまでに気にしていた理由が、今わかった気がします。彼女は、素晴らしい女性です」

その呟きは風に乗り、はるか遠くまで流れていった。
/ 1491ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp