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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第109章 幕間その陸:煉獄邸再び


抜けるような青空の下を、汐は重い足取りである場所へと向かっていた。手には、一枚の紙きれを握りしめて。

(まさか、またここへ来ることになるなんてね)

その場所が見えてきたとき、汐は複雑な思いを感じた。その場所とは、上弦の鬼と戦い、その命を散らした炎柱・煉獄杏寿郎の生家だった。

かつて汐は、炭治郎と共にこの場所へ赴き、煉獄の訃報と遺言を彼の家族に伝えた。その際、二人はひと悶着を起こしてしまい、なんとなく顔を合わせづらかったのだ。

しかし、汐の元に、槇寿郎が汐に会いたいと手紙をよこし、その申し出を無下にするわけにもいかず、汐はこうして赴いたのだった。

煉獄邸の前では、既に千寿郎が待っており、汐の姿を見るなり駆け寄ってきた。

「大海原さん、お久しぶりです」
「久しぶりね、千寿郎。あんたも元気そうで、何よりだわ」

そう言って握手を交わすと、千寿郎は汐に家の中に入るように促した。

通された居間では、煉獄の父、槇寿郎が汐を迎えるように静かに座っていた。
あの時会った時とは別人のような風貌に、汐は思わずごくりと唾を飲み込んだ。

だが、

「すまなかった!!!」

槇寿郎は突然、畳に額を打ち付けるように頭を下げた。
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