第105章 変わりゆくもの<弐>
時間は遡り。
汐の事は、アオイたちの心にも影を落としていた。特にアオイは、本来なら自分が行くはずだった任務だったため、自分のせいで汐達があんな目に遭ってしまったと思い込み、責任を感じていた。
アオイの手伝いをしながら、カナヲは心配そうな顔をしていた。それはアオイの事も勿論だが、変わり果ててしまった汐を思い出すとカナヲの心は激しく痛んだ。
(どうしてこんな気持ちになるんだろう。あの時も、師範が汐に斬殺隊員をやめてもらうって言った時、胸がものすごく痛くなった。こんな気持ちになるなんて、今まで一度もなかった)
カナヲは小さくため息をついて空を見上げた。もやもやした気分とは裏腹に、空は見事に晴れ渡っていた。
(私にできることは何だろう。汐がこのまま鬼殺隊を辞めてしまう。そんなの、絶対に嫌だ)
カナヲは意を決したように顔を上げると、アオイにちょっと出てくるとだけ告げると、そのまま彼女は走り去っていった。
その突発的な行動に、アオイは目を見開き慌てて彼女の後を追った。