第103章 決着<肆>
妓夫太郎と堕姫の頸が塵となり消えたのを見届けた炭治郎は、空を仰ぎながら一つ、息をついた。
「終わったな・・・、疲れた・・・」
そう呟くと、背後から風に乗って汐の匂いが届き、炭治郎は思わず振り返った。
汐は少し悲しそうな顔をしながら、覚束ない足取りで炭治郎と禰豆子の傍へ歩み寄ってきた。
「終わったのね、今度こそ」
「ああ、そうみたいだ」
汐の言葉に炭治郎が答えると、彼女は炭治郎の姿をまじまじと見てから、呟くように言った。
「ボロボロね、あたし達。ときと屋の女将さんが見たら卒倒しそう」
「ああ、でも、生きてるんだ。俺達」
「・・・そうね、生きてるのよね。あんな奴らを相手にして・・・」
上弦の鬼。多くの柱を葬った、無惨の血が濃い鬼。そんな奴らと対峙し生き残ったことは、おそらく奇跡に近しいのだろう。
しかしそれでも、彼等は勝った。この勝利はきっと無駄なものにはならない。
少なくとも、汐達はそう思った。