第102章 決着<参>
彼らが炎に飲まれると同時に、鬼の頸も塵となって消え失せた。彼等だったものを、炭治郎と禰豆子の手は優しく包みこんだ。
やがてそれは、月の光に照らされながら、まるで天へと昇るかのように消えていった。
「仲直り、出来たかな」
炭治郎が呟いた言葉に、禰豆子は力強くうなずいた。それを見て炭治郎も、微かに笑みを浮かべた。
そんな彼らの様子を、汐は少し後ろで眺めていた。自分たちをここまで追い詰めた鬼にさえ、あのように手を差し伸べる炭治郎。
その彼の優しさが、汐は時折怖ろしくなった。
(どうしてあんたは、そこまで優しいの。自分たちだけじゃない。他のも大勢の人間を傷つけ、殺めた奴らなのに)
何故彼らが鬼にならなければならなかったのか。それは汐にはわからないが、ただ一つだけわかったことがあった。
(あんた達はある意味幸せよ。あたしなんか、兄妹喧嘩をする相手すらいないのに・・・)
「馬鹿よ・・・。本当に、馬鹿なんだから・・・」
汐の小さな呟きは、誰にも聞かれることなく夜の闇に消えていった。