第101章 決着<弐>
「って、そうだ!他の連中は!?」
汐の言葉に炭治郎は慌てて周りを見渡し、立ち上がろうとした。だが、炭治郎の身体は重力に従い、膝をついてしまう。
汐も立ち上がろうとしたが、足に力が入らず座り込んでしまった。
(あれ?そう言えばあたし達、なんで生きてるの?あの昆布野郎の毒を喰らったはずなのに・・・)
汐が困惑していると、瓦礫の中から何かが聞こえ、汐は思わず身を固くした。
「たんじろ~~、うしおちゃあ~ん・・・」
「この情けない声は、善逸!?」
耳を澄ませてみれば、その間抜けな声は間違いなく善逸の物で、彼が生きていることが見て取れた。
炭治郎もその声が聞こえたのか、汐と同じように顔を向けていたものの、二人とも疲労と傷の痛みで動くことができなかった。
そんな二人を見かねて、禰豆子は身体を少し大きくすると右側に炭治郎の腕を、左側に汐の腕を回して担ぐと、善逸がいるであろう方向に走り出した。
鬼であるせいか、二人の人間を担いでも速度を落とさない禰豆子に、汐と炭治郎は目を見張った。
「たんじろぉおお~、うしおちゃああん。痛いよぉ~!!」
瓦礫の中を見てみれば、全身に血を滲ませながら倒れ伏す善逸の姿があった。
しかし
「起きたら身体中痛いよお!俺の両足これ折れてんの何なの!?誰にやられたのコレ、痛いよおお!怖くて見れないぃ!!」
その凄惨な見た目とは裏腹に、善逸は涙と鼻水を垂れ流しながらぎゃあぎゃあと喚いていた。
炭治郎は善逸を引っ張り出しながら無事を喜び、善逸は無事じゃないと怒りを込めた声で叫んだ。
(とりあえず大丈夫なようね。はぁ、やれやれだわ)
呆れる汐に善逸は、泣き叫びながら瓦礫の山を指さした。
「俺も可哀想だけど、伊之助がやばいよぉ!心臓の音がどんどん弱くなってるよ~~~っ。あそこにいるよ、あそこ~~っ!!」
善逸の指さした方向には、足だけ見えた伊之助の姿があった。汐と炭治郎は禰豆子に抱えられながら、伊之助の元へ駆けつけた。