第101章 決着<弐>
嵐が収まり、静けさが戻ってきた頃。
炭治郎が妓夫太郎と戦っていた時に箱から落ちてしまった禰豆子は、瓦礫の山と化した町の中を家族を捜して彷徨っていた。
辺りを見回しても何の音も聞こえず、禰豆子の胸に不安が沸き上がる。
すると、前方でかすかな物音が聞こえ、禰豆子は小さな足を一生懸命に動かしながら駆け寄った。そして、そこで見たものに彼女は目を見開いた。
そこには倒れ伏す炭治郎と、生えたように立ったまま動かない汐の姿があった。
だが、突如汐の口と鼻から血が勢いよく吹き出し、そのまま全身が痙攣しだした。
「!!」
禰豆子は慌てて二人に駆け寄った。見てみれば、二人の身体は紫色に爛れ、あちこちから血を吹き出していた。
このままでは二人の命が危ないということは、火を見るよりも明らかだった。
すぐに禰豆子は、二人の身体に両手を押し当て強く念じた。すると二人の身体が真っ赤な炎に包まれ、ごうごうと音を立てて燃えていく。
だが、その時二人の身体に変化が起こった。
毒で爛れた皮膚がみるみるうちに治っていき、炎が収まった時には二人の毒は完全に消えていた。
「うーーー」
禰豆子は炭治郎の頭を自分の膝に乗せ、ぺちぺちと顔を軽くたたいた。不安げな表情をする禰豆子だが、炭治郎の瞼がゆっくりと開いたことを認識すると、その目は嬉しそうなものへと変わった。
「禰豆子・・・」
炭治郎はかすれた声で禰豆子の名を呼ぶと、すぐに目を大きく見開いた。
周りは瓦礫に覆われ、町の面影はほとんどなく、その景色に炭治郎は愕然として口を閉じた。
「酷い、滅茶苦茶だ。確かあの時、鎌の鬼が大きな血鬼術を放ってその後・・・」