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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第98章 役者は揃った<参>


「フフッ・・・、フハハハハハ!!!ハァーッハッハ!!!」

宇髄は突如頭に手を当てながら、大声で笑い出した。いきなりの事に汐は顔を引き攣らせ、何事かと彼を見上げた。

「くっくっくっ・・・。この俺にここまではっきりと言いやがる奴はお前が初めてだ。最初に会った時から派手にぶっ飛んだ奴だと思ってはいたが、ここまで馬鹿だとは思わなかったぜ」
「はあ!?」

憤慨する汐だが、宇髄はふっと柔らかい笑みを浮かべると汐の頭をぽんぽんと優しくたたいた。

「だが、いい女だな、お前。あいつらが気に入った理由が何となく分かった」

優しい声色でそう言われ、汐の心臓が跳ね顔に熱が籠った。その初々しい反応に吹き出しそうになるが、瓦礫が崩れる音で二人は同時に首を動かした。

「いいぜ癇癪娘。いや、汐。お前の派手にぶっ飛んだ作戦に乗ってやるよ」

宇髄がそう言うと同時に、瓦礫を吹き飛ばしながら妓夫太郎が身体を起こした。それからぼりぼりと激しく顔を掻き毟りながら、汐を睨みつけた。

「やってくれるじゃねえかあ、ワダツミの子。まさかこの状況をひっくり返せるとおもってんのかあ?」

「思ってるに決まってるじゃない。誰を目の前にしてそんな口を利いているの?上弦?知ったこっちゃねーわよ昆布頭!あんたらの連勝記録更新も今日までよ!!」

汐はそう言い放つと、小さく息を吸い口を開いた。小さな声で歌われる活力歌が、彼女の身体を強化する。
だが、汐の次にとった行動を見て妓夫太郎は勿論、宇髄ですら目を剥いた。

何と汐は刀を鞘に納め、あろうことか丸腰で妓夫太郎の前に立ちはだかった。

「汐・・・!?お前っ、何して・・・」
「ああ?お前舐めてんのかあ?丸腰で鬼の前に立つなんざ、遂に頭がイカれたか?」

汐の意図が分からず、妓夫太郎は首を直角に曲げながら睨みつけた。しかし汐は口元を大きくゆがませると、狂気に満ちた笑顔で彼を見据えた。

「鬼さんこちら、手のなるほうへ。さあさああたしと一緒に踊りましょうか。狂ったように、死ぬまでね!!」

汐の口から歌が響き渡ると同時に、妓夫太郎の両腕から先ほどよりも大きな血の斬撃が放たれた。
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