第97章 役者は揃った<弐>
(そうか、忍だ。剣士じゃない。元々コイツは感覚がまともじゃねぇ)
妓夫太郎はすぐに宇髄の頭部に向かって鎌を振るうが、彼は姿勢を瞬時に落とし斬撃を躱すと妓夫太郎の頸ではなく足に向かって刃を振るった。
周りの瓦礫と共に妓夫太郎の両足が切断され、それに意識が向いたとたんに彼の頸に一本のクナイが刺さった。
その刹那。
参ノ旋律――
――束縛歌!!!
汐の歌が響き、妓夫太郎の全身が硬直した。彼はすぐに振り払おうとしたが、体が言うことを聞かず足も再生していなかったことに気づいた。
(足が再生しない上に、暗示も振り払えない。やはり何か塗られていた。このクナイ、おそらく藤の花から抽出されたもの。体が痺れ・・・)
妓夫太郎は首筋に刺さるクナイを忌々し気に睨みつけ、舌打ちをしたその瞬間。
炭治郎が前に飛び出し、その頸に向かって漆黒の刃を振るった。
(やるじゃねぇかよ。短時間で統制がとれ始めた・・・。おもしれぇなぁあ)
そんな状況に、妓夫太郎はにやりと気味の悪い笑みを浮かべた。