第97章 役者は揃った<弐>
「クククッ、継子ってのは嘘だなあ。お前らの動きは統制が取れてねぇ。全然だめだなあ」
帯に交じって妓夫太郎の血の斬撃が飛び交い、汐達は必死でその二つの攻撃を捌いていた。だが、妓夫太郎の言う通り即席の隊と異なり、二人の動きは寸分の狂いもなく、殆ど隙がなかった。
汐達が攻撃を受け流せば受け流す程、建物は悲鳴を上げ、崩壊へと近づいていた。
(倒壊する!!瓦礫で周囲が見えない・・・)
宇髄は爆薬を取り出し、瓦礫を吹き飛ばすが、その隙を妓夫太郎は見逃さなかった。
宇髄は爆薬を取り出し、瓦礫を吹き飛ばすが、その隙を妓夫太郎は見逃さなかった。
(速い、本当に蟷螂みたいな奴だ。なんだこの太刀筋は・・・)
両手から繰り出される太刀筋の読めない斬撃が、毒で弱った宇髄を容赦なく襲う。そしてそれに加えた彼の血の斬撃が、後方から宇髄に狙いを定めていた。
(逃げ道がねぇ)
斬撃が宇髄の身体に食い込む寸前、その間に滑り込む者があった。炭治郎が素早く入り込み、その斬撃を受け止めたのだ。
(ぐあああ重い!!攻撃が重い!!流せ!!受け流せ!!まともに受けたら、刀が折れる!!)
見た目よりも遥かに思い攻撃に、炭治郎は歯を食いしばり必死で耐えた。だが、そんな炭治郎の死角から、堕姫の帯が襲い掛かる。
「させるか!!」
その帯の間に汐が入りこみ、炭治郎が斬られるのを防ぐと汐は口を開き、高らかに叫んだ。
「いつまでへばってんだぼんくら共!!死ぬ気で気張れクソッタリャア!!」
――ウタカタ 壱ノ旋律――
――活力歌!!!
汐の歌が響き渡り、炭治郎と宇髄の身体に熱を持たせ、炭治郎は咄嗟に水の呼吸を用いて斬撃を受け流した。
――音の呼吸 伍ノ型――
――鳴弦奏々(めいげんそうそう)!!!
宇髄の日輪刀が爆ぜながら回転し、その勢いで身体を前に進ませた。先ほどよりも威力が上がった攻撃に、妓夫太郎は目を見張った。