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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第12章 二つの刃<弐>


「・・・わかった、君を信じる。だけど、絶対に無茶はするな」
「もちろん。あんたも、しくじったら許さないよ!」

そういって汐は右拳を炭治郎の前に突き出す。炭治郎もまた拳を突き出し、それをそっと合わせた。

「どこだ!?どこへ行ったガキども!!鱗滝!|大海原!殺す、殺す!殺す!!」

激高している鬼は、あたりかまわず腕を振り回し土煙の帯を上げ続ける。そしてひときわ大きく振り回そうとしたその時。

――鬼さんこちら、手の鳴るほうへ

透き通るような声があたりに響き渡る。鬼は思わず手を止め、声が聞こえてきたほうに体を向ける。
そこには、刀を持ちあどけない笑みをこちらに向けている汐の姿があった。この場には似つかわしくない表情に、鬼は怪訝そうに目を細める。

「どうしたの?あたしを殺したいんでしょ?やってみたら?できるものなら」
そう言って汐は挑発的な視線を鬼に向ける。鬼の体がぶるぶると震えだし目もぎょろぎょろとせわしなく動く。

「つべこべ言わずにかかって来いよ。耳まで腐ってんのか下衆野郎」

しびれを切らした汐は、吐き捨てるように言った。その声は地を這うようなものだった。その瞬間、

「アアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

鬼が咆哮を上げながら、その無数の手を汐に向かって打ち付けてきた。雨の様に降り注ぐ腕が、地面をえぐりその破片を飛ばす。

だが、汐はその動きがすべて見えるかのように、攻撃をすべてかわしていた。左右からの攻撃は身をひるがえし、上からの攻撃は地面をすべるように。
その動きはまるで舞を舞っているようにも見えた。
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