第95章 バケモノ<肆>
(斬撃自体操れるのか、敵に当たってはじけるまで動く血の斬撃!!)
日輪刀でその斬撃を受け流しながら、宇髄は先ほど堕姫を斬った時のことを思い出していた。
(あの兄妹、妹の方は頸を斬っても死ななかった。あり得ない事態だ。兄貴の頸を斬れば諸共消滅するのか?兄貴が本体なのか?)
しかし今の状況では情報が少なすぎる上に、ここを切り抜けねば命はない。
宇髄は考えるのをやめた。
(どの道やるしかねぇ)
宇髄は懐から火薬球を取り出し、神経を研ぎ澄ませた。
(この音からして上の階の人間は殆ど逃げてる)
そしてその火薬球を放り投げ、自分自身も飛び上がりその刃で火薬球を切り裂いた。
その瞬間。
凄まじい爆発が起こり、建物の一部が吹き飛んだ。伊之助はすぐさまそれを察知し、善逸と共に地面に転がった。
煙がもうもうと上がる中、宇髄は口元を歪ませながら吐き捨てるように言った。
「・・・まぁ、一筋縄にはいかねぇわな」
視線の先には硬質化した堕姫の帯でくるまれたものがあり、その帯が剥がれ落ちたそこには、妓夫太郎の肩に座る堕姫の姿があった。
「俺たちは二人で一つだからなあ」
そう言って妓夫太郎は、これ以上ない程の醜悪な笑みを浮かべていた。