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【鬼滅の刃】ウタカタノ花
第93章 バケモノ<弐>
(炭治郎・・・!!)
汐は苦しむ禰豆子を見て唇をかみしめた。ウタカタも効かず、自分の声も届かない。おそらく禰豆子を抑えられるのはたった一人。
彼女と血を分けた家族である、炭治郎だけだ。
「っ!!」
汐の頬に、禰豆子の鋭い爪が滑り真っ赤な線を刻み、汐の目から涙があふれ出した。それは痛みのせいではない。禰豆子と炭治郎を想っての涙だった。
「・・・助けて・・・!助けて炭治郎!!禰豆子を助けて!!!」
汐の悲鳴のような助けを求める声が、あたり中に響き渡った。
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