第91章 蠢く脅威<肆>
伊黒を加えた、柱二人からの猛烈な指導をみっちり受け、徹底的に自分を苛め抜き、何度も折れそうになった汐だが、何度も彼らの姿を思い浮かべ、必死に前に進んだ。
そして、ある日。
「うおおおおああああああ!!!!」
汐の渾身の斬撃が、練習用の巻き藁を吹き飛ばし破壊した。その光景を汐はぼんやりと見ていたが、間を置いた後甘露寺の方を振り返って叫んだ。
「で、できた!できたよみっちゃん!」
汐は汗と泥まみれの顔のまま、嬉しそうに笑い、そんな彼女をみた甘露寺も嬉しさのあまり飛び上がって喜んだ。
「やったわねしおちゃん!!おめでとう!!これでまた一つ強くなれそうね」
そして甘露寺は汐の顔をタオルで拭きながら、優しい声色で言った。
「だけどね、しおちゃん。これだけは絶対に忘れないで。本当の強さというものは力だけじゃないと思う。特に女の子が本当に強くなれるのは、大切な人を守りたいという気持ちだから」
「うん、わかった。あたし絶対に忘れない。大切な・・・、ごぺぱぁああ!!!」
だが、言葉を紡ごうとした瞬間、汐は顔面の穴という穴からいろいろなものを吹き出しながら断末魔の声を上げて倒れた。
そんな汐を見て甘露寺は、彼女以上に顔面を崩壊させるのであった。