第85章 鬼潜む花街<弐>
「いいか?俺は神だ!お前らは塵だ!まずはそれをしっかりと頭に叩き込め!!ねじ込め!!」
様々な表情を浮かべる汐達に向かって、宇髄は突然指を突き付けながら叫ぶように言った。
「俺が犬になれと言ったら犬になり、猿になれと言ったら猿になれ!!猫背で揉み手をしながら、俺への機嫌を常に伺い、全身全霊でへつらうのだ!」
――そしてもう一度言う。俺は神だ!!
宇髄は不可思議な姿勢をしながら得意げな表情で四人を見下ろし、その四人は呆然と彼を見上げた。
(やべぇ奴だ・・・)
善逸は顔を青ざめさせながらそんなことを考えてると、汐は善逸の耳元に唇を寄せながら小さな声で言った。
「ねえ善逸。いったん蝶屋敷に戻った方がいいんじゃない?任務に行く前から重傷みたいよ。頭が」
「おい聞こえてんぞ。いい加減にしねぇと派手に足腰立たなくすんぞ」
汐の無礼な言葉に宇髄は顔を痙攣させながらそう言うと、彼女はびくりと体を震わせて善逸から離れた。
そんな空気を払しょくしようとしたのか、将又たまたまなのか。炭治郎は素早く左手を上げると無垢な眼差しを向けながら言った。
「具体的には何を司る神ですか?」
そんな彼に汐と善逸は変な生き物を見るような眼を向け、善逸は(とんでもねぇ奴だ・・・)と畏れ、汐は(相変わらず真面目なんだか馬鹿なんだか)と呆れた。
「いい質問だ。お前には見込みがある」
一方炭治郎の質問に気をよくした宇髄は腕を組みながら嬉しそうな表情で高らかに言い放ち、そんな彼に善逸は(アホの質問だよ。見込みなしだろ)と脳内で突っ込んだ。
「派手を司る神・・・祭りの神だ」