第80章 幕間その伍:柱だヨ!全員集合?(前編)
「あぎゃあああああああ!!!!!」
抜けるような快晴の空に、似つかわしくない程の濁った悲鳴が響き渡る。
そこでは【レオタード】という西洋式の運動着に着替えた汐が、甘露寺に両足を思い切り開かれて悶絶していた。
彼女が提案したのは、柔軟性を重点的に鍛える訓練。
稽古を付けられる前、汐は甘露寺の前で海の呼吸の型を披露し、それからこれから先の方針を決めることになった。
甘露寺曰く、柔軟性を鍛えることは怪我の防止にはもちろんの事、汐の海の呼吸の型をさらに精錬されたものになるという。
その後少しだけ甘露寺の恋の呼吸の型を見せてもらったが、その体の柔らかさから繰り出される超高速の技の連続に、汐は度肝を抜かれた(危うく大切なものを失うところだったのは内緒だ)
柔軟の重要性が分かった汐は、意を決してその訓練を受けることにしたのだが、その結果が先ほどの汚すぎる悲鳴に繋がった。
「ガンバ!ガンバ!!」
甘露寺の柔軟は彼女の怪力による力業のほぐし。全身が引き千切られるような激痛に、汐は絶叫し、そして何度も戻した。
しかし脳裏に浮かぶのは、命を散らした煉獄と、悔しさに涙を流す炭治郎の姿。
煉獄の遺志に応えるため、そして大切な人を守るため、汐は苦しみに耐え続けるのだった。