第65章 幕間その肆:???
歪んだ空間の中に琵琶の音が響き渡り、ひとりでに動く襖の向こうに彼は姿を消した。
そして彼が引き起こしたそれを眺めていた参つの影があった。
「ヒィィィ!恐ろしい、恐ろしい」
かすれた声で震えているのは、小柄な老人のような姿をした鬼で先ほどのそれを見たせいか涙まで流し怯えている。
「怖ろしい怖ろしい・・・!あの御方の気分次第で儂も・・・」
そんなことを呟きながら震える彼の傍らでは、一つの装飾された壺が置いてありそこから生えているような不気味な鬼が笑いながら姿を現した。
「ヒョッヒョッヒョッ・・・いい・・・とてもいい・・・あの御方直々の制裁・・・」
目や口が滅茶苦茶についたような不気味な顔で、壺の鬼は恍惚とした表情でそれを眺めていた。
「何不細工な顔で怯えてんのよあんた。弱いんだから消されて当然じゃない。それに引き換えアタシ達は強くてすごいからあの御方にこうして気に入られていかされているのよ。ね?【お兄ちゃん】」
あちこちが露出した服を纏った女の鬼が、さも当然だと得意げに言うと、彼女の背中から「そうだよなぁぁぁ」と別の男の声が聞こえた。
それを見た二人の鬼は相も変わらずだと言いたげに表情をかえる。すると、その空気を壊すような明るい声が響いた。